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最高裁判所第二小法廷 昭和27年(あ)11号 判決 1952年11月21日

主文

本件各上告を棄却する。

理由

各被告人の弁護人杉之原舜一の上告趣意について、

憲法二八条は企業者対勤労者、すなわち使用者対被使用者というような関係に立つものの間において経済上の弱者である勤労者のために団結権乃至団体行動権を保障したものに外ならないこと当裁判所大法廷判決(昭和二二年(れ)三一九号同二四年五月一八日言渡集三巻六号七七二頁参照)の示すところである。然るに第一審判決判示の失業対策委員会は同判決判示のとおり市長の諮問機関であって、市の執行機関でなく、また同判示組合が決議した内容は使用者たる市と労働者の労働条件に関するものと見るべきでなく、むしろ小樽市の失業対策一般に対する日雇労働者の要望を述べたものである。従って被告人等の失業対策委員会に対する行動は団体交渉ではなく、市政に対する陳情というべく、この点について被告人等の所為が団体交渉行為であることを前提とする所論は既にその前提において失当である。次に、同判示の山岡助役に対する賃金の要求について判断するとそれは形式上労使間の団体交渉範囲に属するが、その交渉をするに当って特に多衆の威力を示して暴行又は脅迫の行為が行われた場合にまで労働組合法一条一項にいわゆる正当な団体交渉行為といえないこと既に当裁判所屡次の判例(昭和二五年(れ)一五〇五号同二六年二月二日当小法廷判決参照)の示すとおりであるから被告人等の判示所為が正当な団体交渉行為であることを前提とする議論はすべて独自の議論であって採用に値しない。原判決の判断も亦これと同旨であって、論旨の理由のないこと明らかである。

なお記録を精査しても刑訴四一一条に該当する事由はない。

よって同四〇八条を適用し全裁判官一致の意見で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 栗山 茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎)

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